模擬選挙を自分の街で開くには行政・選挙管理委員会への相談手順
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地域の投票率や若者の政治参加に問題意識を持っていても、どのような企画なら実際の学びにつながるのか分からない場合があります。投票箱を使ったイベントだけで十分なのか、地域課題や政策立案まで扱うべきなのか迷うこともあるでしょう。
企画書をつくり始めたものの、共催、後援、協力の違いが分からず、行政へ何をお願いすればよいのか整理できない方もいるはずです。選挙管理委員会、教育委員会、議会、区役所・市役所のどこへ最初に連絡すべきか分からないこともあります。
行政へ連絡して断られたら、自分の企画や問題意識そのものを否定されたように感じそうで、メールを送れない方もいるかもしれません。すでに問い合わせたものの返信がなく、次にどのような連絡をすればよいか迷っている場合もあります。
また、行政や議員に協力してもらうことで、特定の政党や政治的立場に偏った企画だと思われないか心配な方もいるでしょう。
そこでこの記事では、最初の一枚資料、相談先の選び方、初回面談で聞くこと、議員の役割、行政から難しいと言われた場合の考え方までを紹介します。
この記事は、こんな方に向けています
- 自分の地域で模擬選挙を開催したい10代
- 選挙管理委員会へ初めて相談する方
- 行政のどの部署へ連絡すべきか分からない方
- 共催、後援、協力の違いを知りたい方
- 高校生の企画として相手にしてもらえるか不安な方
- 行政へ送る企画書やメールを準備している方
- 議員へ協力を依頼したいが、中立性を心配している方
- 行政から断られた後、次の方法を探している方
- 投票体験だけでなく、政策立案や熟議まで扱いたい方
最初からすべての協力を得る必要はありません。企画への助言や担当部署の紹介など、実現可能な関わり方から始められます。
行政へ連絡することが怖いのは、珍しいことではない
初めて行政や選挙管理委員会へ連絡するときは、緊張するものです。
メールの書き方は正しいか、企画が未熟だと思われないか、断られたらどうしよう、と考えて送信できなくなることもあるでしょう。
特に、自分が大切にしている問題意識について相談する場合、企画を断られることと、自分自身を否定されることが重なって感じられる場合があります。
しかし、行政への最初の相談は、企画の良し悪しを判定する試験ではありません。
行政側にも、公共性、公平性、安全性、中立性、役割分担を確認する責任があります。

最初の面談は、企画の穴を一緒に見つける場
企画者側は、行政へ次のような協力を期待するかもしれません。
- 共催や後援
- 会場の提供
- 投票箱などの貸与
- 広報
- 学校への周知
- 行政職員や議員の参加
ただし、最初からすべてを依頼すると、行政側も何を判断すればよいか分からなくなります。
初回相談の目的は、次のように置きます。
- 担当部署が合っているか確認する
- 行政が関与できる範囲を知る
- 公平性や安全面の懸念を聞く
- 必要な手続と決裁期間を確認する
- 次に準備する資料を決める
- 共催以外の協力方法を知る
TEIGEN JPのモギ区長選は、足立区役所、区議会、教育委員会、選挙管理委員会と協働して実施しています。
2025年の開催には中高生30名が参加し、区議会議員11名が協力しました。

ただし、最初の連絡から現在の形が完成していたわけではありません。
最初の資料は、長い企画書でなくてよい
行政へ相談するためには、立派な企画書が必要だと思うかもしれません。
しかし、最初から情報を詰め込んだ長い資料をつくると、相手が何を判断すればよいか分からなくなる場合があります。
まずは、一枚で全体を説明できる資料を用意します。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 背景 | 地域で何を問題だと感じたか |
| 目的 | 参加者に何を経験してほしいか |
| 対象 | 年代、想定人数、地域 |
| 内容 | 参加者が実際に行うこと |
| 時期 | 開催希望時期と準備期間 |
| 主催者 | 団体名、責任者、連絡先 |
| 中立性 | 政党、候補者、争点をどう扱うか |
| 安全 | 未成年、個人情報、写真等への対応 |
| 相談事項 | 行政に何を聞きたいか |
| 未決定事項 | 現時点で決まっていないこと |
分からないことを無理に埋める必要はありません。
未決定の事項を正直に示し、どこについて助言が必要なのかを伝えたほうが、相談の目的が明確になります。
企画内容は、抽象的な理念だけでなく、参加者の行動で書きます。
TEIGEN JPのモギ区長選であれば、参加者は次のことを行います。
- 地域課題を分析する
- 政策を立案する
- 立候補する
- 選挙公報と演説をつくる
- 議員や参加者と熟議する
- 政策を比較して投票する
「主権者意識を高めるイベント」と書くより、行政側も必要な協力を判断しやすくなります。

相談先によって、聞くことを変える
模擬選挙に関係しそうな機関へ、同じ依頼を一斉に送ればよいわけではありません。
それぞれの役割に合わせて相談内容を変えます。
| 相談先 | 主に確認すること |
|---|---|
| 選挙管理委員会 | 選挙啓発、投票手続、備品、中立性 |
| 教育委員会 | 教育目的、学校との接続、対象年代 |
| 自治体の担当部署 | 地域課題、会場、庁内調整 |
| 議会・議員 | 政策への質問、熟議、地域の実情 |
| 学校 | 参加者、事前学習、引率、日程 |
| 公共施設 | 会場条件、設備、安全管理 |
どこへ連絡すべきか分からない場合は、自治体の代表窓口へ企画の概要を短く伝え、担当部署を尋ねて構いません。
間違った部署へ連絡したとしても、それだけで失礼になるわけではありません。
「どの部署へ相談すべきか教えていただきたい」と丁寧に尋ねることで、適切な窓口につないでもらえる可能性があります。
初回面談では、できることより「難しいこと」を聞く
面談では、企画の魅力を伝えたい気持ちが強くなります。
しかし、良い点だけを説明して相手を説得しようとすると、後から大きな問題が見つかることがあります。
初回面談では、相手が難しいと考える点を聞いてみてください。
制度と名義
- 共催、後援、協力は何が違うか
- 名義使用にはどのような決裁が必要か
- 申請から判断までどの程度の期間が必要か
- 行政職員や議員が参加できる範囲はどこまでか
内容と中立性
- 地域課題を教材化する際の注意点は何か
- 行政データを使用するとき、出典をどう示すか
- 議員や職員へどこまで質問できるか
- 政治的中立性を守るために何が必要か
会場と安全
- 使用できる施設はあるか
- 未成年者の利用条件は何か
- 投票箱や記載台等を借りられるか
- 保護者同意、写真、個人情報について何が必要か
- 事故や緊急時の責任分担をどうするか
特に、次の質問は多くの情報を引き出せます。
議員に参加してもらう場合は、役割を明確にする
模擬選挙へ議員が参加すると、地域課題や政策について、現場を知る立場から具体的な質問を受けられます。
一方で、特定の政党や候補者の政治的発信の場にならないようにする必要があります。
議員へ依頼する際は、次の役割を共有します。
- 参加者がつくった政策へ質問する
- 特定の結論へ誘導しない
- 政党や選挙活動の広報を目的にしない
- 政策を否定するのではなく、実現条件を問う
- 企画者側が時間と進行を管理する
- 個人の見解と、議会や会派の見解を区別する
議員を、正解を知っている審査員として置くと、参加者が答えを当てる場になってしまいます。
参加者が自分の政策を問い直すための対話相手として位置付けることが大切です。

議会にとって、何が残るか
議会に相談を持ちかけるとき、こちらの熱意だけでは動きません。議会の側に何が残るのかを先に言葉にしておくと、話が早くなります。
議会改革の進み方は、早稲田大学マニフェスト研究所の「議会改革度調査」で毎年順位が付きます。評価は情報共有・住民参画・機能強化の3分野で、模擬選挙は住民参画の実績になります。
足立区議会の例が分かりやすいと思います。同議会が公表した資料には、2023年に行った議会改革の「住民参画」分野の取り組みとして、学生主催の「モギ区長選」を開催し主権者教育推進に取り組んだことが記載されています(同年の調査で全国1,562議会中58位・特別区内2位)。
議場を1日使い、会派を越えた議員が参加し、その記録が改革実績として残る。議員個人にとっても、10代と政策で対話した一日は活動報告に書けます。議会が「住民参画に取り組んだ」と名前を出して公表できる事実が、ひとつ増える——相談の場では、この形で説明するのが確実です。
断られたときは、何を断られたのかを分けて考える
行政から共催や会場利用を断られることはあります。
そのとき、「高校生だから相手にされなかった」「企画に価値がなかった」と感じてしまうかもしれません。
しかし、行政の判断には、予算、日程、公平性、施設規則、決裁、前例など、さまざまな事情があります。
何が難しかったのかを分けて確認します。
- 共催名義
- 後援名義
- 会場利用
- 備品貸与
- 職員の参加
- 議員との調整
- 広報
- 実施時期
- 安全管理
- 中立性
- 予算
共催は難しくても、企画への助言や担当部署の紹介は可能かもしれません。
庁舎は使えなくても、学校、公共施設、オンラインで実施できる場合があります。
一方で、安全性や中立性について重要な問題を指摘された場合は、場所だけでなく企画自体を見直します。
TEIGEN JPは、自分の街でモギ区長選やおそうじ隊を始めたい10代に、30分、無料、オンラインの相談を通年で行っています。現在の企画案、地域、相談したい自治体が決まっていなくても、公式サイトから申し込めます。