「学生団体をつくってみたい。でも、何から始めればいいか分からない」「言い出して、大げさだと思われたらどうしよう」——その気持ち、とてもよく分かります。TEIGEN JPも、最初は一人の小さな違和感から始まりました。
今回は、私たち自身の経験をもとに、最初の3か月で決めることを順番にご紹介します。完璧な準備は要りません。読みながら、自分の場合はどうかを一緒に考えてみてください。

学生団体は、完成した答えがなくても始められる
団体を始めるとき、「社会課題を解決する明確な方法が必要だ」と考えるかもしれません。しかし、最初から解決策が分かっている問題ばかりではありません。必要なのは、完成した答えより、見過ごせない違和感です。
TEIGEN JPは2023年6月1日、東京都足立区で設立されました。創設者の堀井爽夏は、2007年生まれ、足立区出身です。
TEIGEN JPが掲げる「問いは、社会を動かせる。」は、立派な提案を最初から持つことではありません。
- ナゼ?この機会は一部の人にしか届かないのか
- ナゼ?意見を言う人はいつも同じなのか
- ナゼ?自分たちは社会の意思決定を遠く感じるのか
まだ言葉になり切らない違和感を、誰かと考えられる問いへ変えることです。一方で、「社会を変えたい」「若者のために活動したい」だけでは、仲間へ具体的な仕事を渡せません。最初に次の一枚をつくります。
- 自分が違和感を持った場面
- 誰に関係する問題か
- その人へ実際に確認できているか
- すでに行われている取り組み
- 自分たちが試したいこと
- 最初の活動で確かめたいこと
- 現時点ではやらないこと
1か月目は、団体名より「ナゼ?自分たちが行うのか」を決める
設立直後は、団体名、ロゴ、SNS、役職を決めたくなります。外から見える形ができると、活動が始まった実感を持てるためです。しかし、先に決めるべきなのは、ナゼ?自分たちが行うのかです。
同じ課題に取り組む組織や制度がすでにある場合、自分たちが新しい団体をつくる必要があるとは限りません。既存の活動へ参加したほうが早く、対象者の負担も小さい場合があります。
- 既存の取り組みでは届いていない人は誰か
- 10代である自分たちだから気付けることは何か
- 自分たちが直接経験した問題か
- 当事者から見て、本当に必要な活動か
- 団体をつくらずに実現する方法はないか
- 一回の企画と、継続組織のどちらが適切か
ここで「団体をつくらない」という結論になっても、失敗ではありません。組織は目的ではなく、問題へ働きかける手段です。
TEIGEN JPも、イベントを開催すること自体を目的とは考えていません。ミッションは「すべての10代に、まだ見ぬ自分と出会う機会を。」です。事業や組織の形は、この目的に必要かどうかで判断します。
2か月目は、大規模募集より最初の実践をつくる
仲間を集める前に、大きなビジョンだけを発信すると、加入後に任せる仕事がありません。最初の実践は、小さくても構いません。ただし、企画、実施、振り返りまで終えられる形にします。
- 課題について当事者や関係者へ話を聞く
- 少人数の意見交換を行う
- 学校や地域の課題を調査する
- 小規模なワークショップを試す
- 行政や専門家へ構想を相談する
- 教材や企画案を少人数で検証する
最初から全国規模のイベントや多数の企業連携を目指すと、企画を試す前に調整だけが増えます。最初の実践では、次の点を確認します。
| 確認すること | 判断の視点 |
|---|---|
| 対象者 | 誰に参加してほしいか |
| 変化 | 参加前後で何を確認するか |
| 場所 | 安全に実施できるか |
| 費用 | 誰が負担し、記録するか |
| 役割 | 誰が最終責任を持つか |
| 個人情報 | 氏名、写真、連絡先をどう扱うか |
| 継続 | 次回も行う価値があるか |
未成年者だけで判断できない事項もあります。会場利用、金銭、個人情報、写真撮影、外部の大人との連絡については、保護者や学校を含めた確認を先に行います。
仲間は「同じ熱量の人」ではなく、同じ問いを持てる人から探す
設立者は、問題について長い時間考えています。後から参加する人が、最初から同じ熱量を持つことは通常ありません。そこで、「自分と同じくらい本気な人」を探し続けると、誰も十分に見えなくなります。
確認したいのは、熱量の高さより次の点です。
- 問題意識に関心を持てるか
- 分からないことを質問できるか
- 小さな仕事を引き受けられるか
- 期限や難しい状況を伝えられるか
- 自分と異なる意見を出せるか
- 団体の考えをそのまま信じるのではなく、問い直せるか
TEIGEN JPの合言葉は「Always Be a Questioner.」です。代表の考えに従う人だけを集めるのではありません。受け取った問いを、自分の言葉で考え直せる人が必要です。
友人を誘う場合も、「手伝ってほしい」とだけ伝えるのではなく、問題意識と最初に任せたい役割を説明します。何を一緒に考えたいのか、最初の1か月で何をするのか、どの程度の時間が必要か、参加しない選択もできること、途中で役割を見直せること。友情と団体の責任を混同すると、断りにくさや温度差が生まれます。

3か月目は、肩書より責任の流れを決める
代表、副代表、広報、企画といった肩書をつくっても、誰が最終的に判断するかが曖昧なら仕事は止まります。最初に決めるのは次の五つです。
- 誰が外部へ連絡するか
- 誰が期限を管理するか
- 誰が資料を最終確認するか
- 誰が金銭と個人情報を確認するか
- 意見が割れたとき、誰がどう決めるか
TEIGEN JPは現在、統括部、ブランディング戦略部、主権者教育事業部、掃除教育事業部で構成されています。38名が在籍し、高校1年生から大学1年生まで、一都三県から原則オンラインで活動しています。
この組織図を立ち上げ直後にまねる必要はありません。人数が少ない段階では、事業ごとに、最終責任者、実務担当者、相談相手、期限、完成条件、判断が必要な事項を決めれば十分です。
「全員で決める」と、全員の予定が合うまで何も決まらないことがあります。反対に、代表だけで決め続けると、他の人は指示を待つようになります。どこまで担当者が決め、どこから全員で話すのかを区別します。
会議ではなく、決定と次の行動を残す
学生団体では、会議を開くこと自体が活動になりやすくなります。話し合った後に担当者と期限が残らなければ、次の会議で同じ話を繰り返します。最低限、決まったこと、決まらなかったこと、担当者、期限、次に確認する日、判断の理由を記録します。
TEIGEN JPは現在、「マンスリーガバナンスサイクル」を運用しています。1on1、月例報告書、代表1on1、定例役員会、全体会をつなぎ、議事録を48時間以内に共有します。個人の状況、事業の進捗、組織の判断を別々にせず、次の行動へ接続するための仕組みです。
ただし、設立3か月の団体が、同じ制度をそのまま導入する必要はありません。制度を増やしすぎると、報告作業だけで疲れます。最初は、一つの共有資料に「進捗、困っていること、次に行うこと」を書き、定期的に確認するだけでも構いません。
最初の3か月で見るのは、団体の大きさではない
設立3か月で、フォロワー数、応募者数、肩書、提携先が少なくても、団体が失敗したとは言えません。確認すべきなのは次の点です。
- 問いを他の人へ説明できるか
- 対象者の声を聞いたか
- 最初の実践を最後まで行ったか
- うまくいかなかった点を記録したか
- 代表以外にも役割があるか
- 次に続ける理由があるか
- 続けない判断もできるか
学生団体を始めることは、自分が特別だと証明する行為ではありません。自分の中にあった問いを、他者と考えられる形へ開くことです。
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