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主権者教育の出前授業を学校に導入するには

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「公民の授業を、制度や用語の説明だけで終わらせたくない」「生徒が自分で政策を考え、投票する授業を行いたい」と考えながら、具体的な導入方法が分からずに悩んでいる先生も多いのではないでしょうか。

「アドバイス」と題したスライドを背に、正面に座る生徒たちへプレゼンの心構えを話すTEIGEN JPのメンバー

主権者教育の出前授業を学校に導入するには校内調整・費用・準備の実務

読了 約9分

担当者自身は前向きでも、管理職や保護者から政治的中立性について質問されたとき、十分に説明できるか不安を感じることがあります。授業時数や予算を確保できるのか、外部団体へ何を任せられるのか、生徒が政治に関心を持っていなくても成立するのかという疑問もあるでしょう。

教育委員会や学校管理職の立場から、複数の学校へ提供できる主権者教育プログラムを探しているものの、学校ごとの学年、人数、時間割に合わせられるか判断できない場合もあります。

すでに模擬投票を実施していても、「演説を聞き、投票箱に用紙を入れるだけで、本当に生徒の判断力につながっているのだろうか」と感じている方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、校内で検討を始める段階から、外部団体への相談、費用、政治的中立性、当日の準備、授業後の振り返りまでを順番に紹介します。

この記事は、こんな方に向けています

  • 主権者教育の出前授業を初めて検討している教員
  • 模擬選挙に必要な授業時数や準備が分からない方
  • 管理職や保護者へ政治的中立性を説明する必要がある方
  • 公民科、総合的な探究、特別活動と接続したい方
  • 学校向けの主権者教育プログラムを探している教育委員会担当者
  • 既存の模擬投票を、政策立案や熟議まで深めたい方
  • 生徒会選挙の事前学習として導入したい方

授業内容がまだ固まっていなくても問題ありません。まずは、学校として何を決める必要があるのかを分けて考えていきましょう。

出前授業の検討が止まるのは、担当者の熱意が足りないからではない

主権者教育の必要性には賛同が得られても、具体的な導入段階になると話が進まなくなることがあります。担当する教員は、授業内容だけでなく、次のような問いにも答えなければなりません。

  • ナゼ?通常授業だけでなく、外部団体へ依頼するのか
  • 生徒は授業中に何を経験するのか
  • 特定の政治的立場への誘導をどう防ぐのか
  • 何コマ必要なのか
  • 学校側にはどの程度の準備が必要なのか
  • 費用には何が含まれるのか
  • 授業後にどのような学びを確認するのか

これらを担当者一人で整理するのは簡単ではありません。

だからこそ、最初から完成した授業案をつくるのではなく、学校として判断すべき事項を分けて整理することが大切です。

教室で生徒が意見を交わす様子

最初に決めるのは、授業内容より「生徒に残したい経験」

外部団体へ相談する前から、細かな時間割や教材まで決める必要はありません。先に考えたいのは、授業を通じて、生徒に何を経験してほしいかです。

主権者教育といっても、目的によって必要な内容は変わります。

  • 選挙の仕組みを理解する
  • 投票の手続きを体験する
  • 地域や学校の課題を自分で考える
  • 政策をつくり、言葉にして伝える
  • 異なる立場から自分の提案を見直す
  • 複数の政策を比較し、自分の理由で選ぶ
  • 生徒会選挙や探究学習へつなげる

「政治への関心を高めたい」という目的も大切です。ただし、それだけでは、授業後に何を振り返ればよいかが曖昧になります。例えば、次のように生徒の行動まで具体化すると、授業設計がしやすくなります。

TEIGEN JPが重視しているのも、政治に詳しい生徒だけを育てることではありません。社会の意思決定を遠くから眺めるのではなく、自ら問い、考え、伝え、選ぶ側に立つ経験です。

相談前に整理しておきたい7項目

相談時点で、すべてが決まっている必要はありません。次の項目が分かるだけでも、話し合いは進めやすくなります。

項目確認する内容
対象学年、人数、学級数
時間1コマの長さ、確保できるコマ数
目的生徒に何を考え、経験してほしいか
接続公民科、探究、特別活動、生徒会との関係
希望時期実施希望日、校内決裁に必要な時期
懸念中立性、予算、発言の偏り、会場など
生徒の状況学年の特徴、参加方法で配慮したい点

分からない項目があっても構いません。「どこから決めればよいか分からない」という状態も含め、現在地を共有することが、学校に合った授業を設計する出発点になります。

相談から実施までの基本的な流れ

TEIGEN JPの「モギ区長選 for School」「モギ校長選」は、中学生・高校生を対象とした2〜4コマの体験型プログラムです。参加者は課題を分析し、政策を立案し、演説や熟議を経て投票します。

1.現在決まっている条件を伝える

最初の問い合わせでは、学校名、対象学年、人数、コマ数、希望時期、授業目的を伝えます。まだ校内で正式決定していない場合は、その旨も伝えて問題ありません。

2.授業で残す工程を決める

2コマと4コマでは、同じ内容を単純に短縮・延長するわけではありません。2コマでは、課題を一つに絞り、政策立案から投票までを一度経験します。4コマでは、質疑や異なる立場を踏まえ、政策を修正するところまで扱えます。

3.中立性と役割分担を確認する

TEIGEN JPは、特定の政党、政治団体、候補者を支持または反対しません。学校向けの模擬選挙では、特定の政治的立場への誘導を避け、政策形成と意思決定の過程に集中できるよう、実在する政党や候補者への賛否を扱わない設計を基本とします。一方で、参加する生徒が異なる意見を持つことまで制限するものではありません。

4.校内で実施条件を確定する

日時、会場、費用、教員の役割、資料印刷、写真撮影、当日の進行を確認します。管理職や関係教員への説明には、目的、授業の流れ、中立性への対応、役割分担を一枚にまとめると共有しやすくなります。

5.授業後の振り返りを設計する

投票結果だけでなく、次の点を確認します。

  • 自分の意見を言葉にできたか
  • 他者の意見を聞き、考えが変わったか
  • 政策の必要性だけでなく、負担や実現条件を考えたか
  • 自分の投票理由を説明できたか
政策づくりに取り組む参加者の手元

学校側が準備するものは、専門的な教材ではない

出前授業を検討する際、「学校側でも教材を一から準備しなければならないのでは」と心配される方もいるでしょう。

TEIGEN JPの場合、教材、授業進行、投票箱などは団体が用意します。学校側にお願いするのは、主に会場と日程の調整、事前アンケートの配布です。当日資料の印刷をお願いする場合があります。

学校側が担うことTEIGEN JPが担うこと
校内決裁、日程、会場の調整学校条件に合わせた授業設計
生徒の状況や注意事項の共有教材、ワークシートの準備
事前アンケートの配布当日の主な進行
必要に応じた資料印刷投票箱などの備品
当日の生徒対応政策立案、熟議、投票の設計

外部団体へ依頼するからといって、学校側がすべてを任せる必要はありません。普段発言する生徒が固定されている、文章を書くために時間が必要な生徒がいる、扱いに注意が必要なテーマがある、といった情報は学校側にしか分かりません。

1コマしか取れない場合は、無理に模擬選挙へしなくてよい

「興味はあるけれど、どうしても1コマしか確保できない」という学校もあるでしょう。

短い時間に、政策立案、演説、質疑、投票をすべて入れれば、形式上は模擬選挙になります。しかし、生徒が政策を考え、比較する時間がなければ、話し方や印象で投票する活動になりかねません。

そのため、TEIGEN JPでは、1コマの場合は模擬選挙の授業ではなく、講演として実施します。学校向け講演は2万円からです。体験型授業は2〜4コマで、2日間への分割もできます。

  • 1コマ:講演や短い対話を中心にする
  • 2コマ:一つの課題について政策立案から投票までを経験する
  • 4コマ:質疑と立場変更を踏まえて政策を修正する
  • 複数日:事前学習と実践、実践と振り返りを分ける

すべてを詰め込むことより、限られた時間の中で、生徒に何を確実に残すかを選ぶことが大切です。

立会演説会で発言する参加者

費用は、当日の授業時間だけで考えない

「モギ区長選 for School」「モギ校長選」の費用は、1回3〜5万円に、交通費と会場費の実費を加えた金額です。この金額には、当日の進行だけでなく、次の準備が含まれます。

  • 事前の打ち合わせ
  • 学校条件に合わせた授業設計
  • 教材や進行の準備
  • 投票箱などの備品
  • 当日の運営
  • 振り返りの設計

見積書、請求書、領収書の発行が可能です。支払方法は、銀行振込または現金での手渡しに対応します。

遠方での実施にも地域を限定せず対応しますが、原則として経済的に合理的な交通手段による実費が必要です。移動時間や日程も含め、事前に相談して決定します。

学校に残したいのは、正解よりも「問い直せた経験」

TEIGEN JPの合言葉は、「問いは、社会を動かせる。」「Always Be a Questioner.」です。これは、質問を多く出せばよいという意味ではありません。

自分が良いと思った政策についても、

  • 誰が利益を得るのか
  • 誰が負担するのか
  • 別の立場から見ても成立するか
  • 見落としている人はいないか
  • 新しい情報を受けて考えを変えられるか

と問い直す姿勢です。

主権者教育の授業で、全員が同じ結論にたどり着く必要はありません。異なる意見を聞き、自分の考えを更新し、最後は自分の理由で選ぶ。その経験が、社会の意思決定を自分から遠ざけないための土台になります。

対象学年、人数、確保できるコマ数、希望時期が決まっていれば、具体的な授業設計を相談できます。まだ校内検討の初期段階でも、お気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

管理職から政治的中立性を心配された場合、どのように説明すればよいですか。
政治を扱う授業だからこそ、慎重な確認を求められるのは自然なことです。特定の政党、候補者、投票先への誘導を行わず、政策を考え、比較し、判断する過程を学ぶ授業であることを共有してください。必要に応じて、授業内容や中立性への対応を校内説明用に整理しながら検討できます。
生徒が政治に詳しくなくても、授業についていけますか。
心配ありません。事前に豊富な知識や強い関心を持っていることは前提としていません。学校や地域の身近な課題から始め、自分たちで政策を考えるため、日常生活と社会の意思決定を少しずつつなげられます。知識量や発言のうまさを競う授業ではありません。
大人数でも、体験型の授業を実施できますか。
1クラスから学年・学校単位まで相談できます。人数が多い場合も、すぐに講演形式へ限定するのではなく、会場、グループ編成、教員の補助体制などを確認しながら、できるだけ一人ひとりが考えられる方法を検討します。
まだ校内で正式決定していませんが、問い合わせてもよいですか。
もちろんです。むしろ、内容を固める前に相談したほうが、コマ数や予算に合った方法を検討しやすくなります。分かる範囲で、対象学年、人数、希望時期、現在の懸念をお知らせください。内容によって正式な回答まで時間をいただく場合がありますが、まずは現在地から一緒に整理します。