「自分ばかりが頑張っている気がする」「メンバーがだんだん来なくなってきた」——団体を続けていると、誰もが一度はぶつかる壁です。
先に伝えさせてください。それは、あなたの熱意が足りないせいでも、仲間が悪いせいでもありません。今回は、多くの学生団体がつまずく3つの壁と、私たちが試してきた対処をご紹介します。

「やる気がない」に見えるとき、仕組みを先に確認する
期限を守らない、会議に来ない、連絡を返さない。こうした状況が続けば、本人の責任を確認する必要があります。しかし、同じ問題が複数のメンバーに繰り返される場合、個人だけではなく組織の仕組みに原因がある可能性があります。
- 募集時と実際の活動内容が違う
- 会議時間や活動量が事前に示されていない
- 加入しても担当業務がない
- 指示の背景や目的が分からない
- 代表の確認を待たなければ進まない
- 意見を出しても判断に反映されない
- 失敗すると仕事を取り上げられる
- 休止や役割変更を相談しにくい
代表は「任せた」と思い、メンバーは「説明されずに放置された」と感じることがあります。
TEIGEN JPは38名が在籍し、高校1年生から大学1年生まで、一都三県から原則オンラインで活動しています。オンラインは地域や移動の制約を減らしますが、会議以外の関係が見えにくく、所属感や相談機会が生まれにくい面もあります。組織の問題を、個人の熱意だけで解決しようとしないことが出発点です。
壁1 募集文には理念があるが、加入後の生活が見えない
「社会を変えたい人」「本気で挑戦したい人」と募集しても、応募者は自分が参加できるか判断できません。必要なのは、理念を弱めることではなく、理念と実務を接続することです。募集要項には、次を記載します。
- 団体が取り組む問題
- 現在実施している事業
- 今回募集する役割
- 最初に担当する仕事
- 会議の曜日と時間帯
- オンラインと対面の割合
- 週または月の活動量
- 研修の内容
- 試験期間や多忙期の扱い
- 休止、役割変更、退会の方法
TEIGEN JPのミッションは「すべての10代に、まだ見ぬ自分と出会う機会を。」です。この理念を募集へ反映するなら、団体を維持するための作業者を集めるだけでは不十分です。加入した人が、初めて行政へ連絡する、政策をつくる、授業を設計する、チームの判断を担うなど、これまで知らなかった自分に出会える役割を用意できているかを確認します。理念に共感した人へ単純作業だけを渡せば、募集時の約束と加入後の経験がずれます。
壁2 加入した人が、実務へ入る前に待たされる
新メンバーが加入しても、説明会と研修が続き、実際の仕事を任されないことがあります。反対に、資料も背景も渡されず、「自由に企画してください」と言われる場合もあります。どちらも動きにくい状態です。
TEIGEN JPには研修制度「TEIGEN道場」があります。研修の目的は、団体の理念を暗記させることではありません。実務を始めるために、事業、中立性、組織、連絡方法などの前提をそろえることです。研修と実務は、完全に分けないほうがよい場合があります。
基礎を確認する
団体の目的、事業、連絡方法、守るべきルールを知ります。
小さな実務を持つ
議事録、調査、参加者案内、資料確認など、完成条件が明確な仕事を担当します。
途中で確認する
締切日に初めて確認するのではなく、中間確認の日時を決めます。
判断の理由を伝える
修正を求める場合は、好みではなく、目的、対象者、事実との関係を説明します。
次の裁量を広げる
一つの仕事を完了した後、より大きな工程を任せます。
最初から大きな仕事を任せることと、説明せずに放置することは異なります。裁量には、目的、期限、変更できる範囲、相談相手が必要です。
壁3 代表しか情報と決定権を持っていない
団体が成長すると、代表へ外部連絡、企画の経緯、最終判断が集まります。代表は忙しくなり、他のメンバーへ任せたいと考えます。しかし、必要な情報と決定権を渡さず、作業だけを渡すと、メンバーは確認を待ちます。その結果、次の循環が起こります。
- メンバーが代表へ確認する
- 代表の返信が遅れる
- 仕事が止まる
- 代表が自分で引き取る
- メンバーの経験が増えない
- 代表が「誰も動かない」と感じる
代表依存を減らすには、肩書を増やすだけでは不十分です。どこまで担当者が決められるか、どの金額や対外連絡から確認が必要か、過去の判断理由をどこで読めるか、誰が代わりに承認できるか、失敗した場合に誰が修正を支援するかを明確にします。
TEIGEN JPは、統括部、ブランディング戦略部、主権者教育事業部、掃除教育事業部を置いています。組織を分ける意味は、肩書を増やすことではなく、事業ごとに責任と判断を持てる状態をつくることです。

個人の声を、組織の判断へ接続する
メンバーが続くためには、仲が良いことや褒められることだけでなく、自分の意見や仕事が組織の判断につながる実感が必要です。
TEIGEN JPでは、月次の「マンスリーガバナンスサイクル」を運用しています。1on1、月例報告書、代表1on1、定例役員会、全体会をつなぎ、議事録を48時間以内に共有します。この流れでは、個人の状況、事業の進捗、役員の判断、全体への共有を接続します。
重要なのは、制度の数ではありません。たとえば、1on1で悩みを聞いても、役割や支援が変わらなければ、話を聞いただけになります。月例報告書を書いても、役員会で判断されず、全体会で共有されなければ、報告は負担になります。制度ごとに、次の出口を決めます。
| 制度 | 出口 |
|---|---|
| 1on1 | 支援、役割変更、確認事項 |
| 報告書 | 判断が必要な課題の抽出 |
| 役員会 | 方針、責任者、期限の決定 |
| 全体会 | 決定事項と背景の共有 |
| 議事録 | 次に誰が何をするかの記録 |
会議や報告を増やしすぎると、事業を進める時間が減ります。情報が止まっている場所だけに制度を置きます。
「続けさせる」ことを目的にしない
メンバーが離れると、代表は自分の運営を否定されたように感じることがあります。本人も、一度入った以上、辞めるのは無責任だと感じるかもしれません。しかし、全員を引き止めることが良い運営とは限りません。
学生団体のメンバーには、学校、受験、家庭、部活動、アルバイトなどがあります。活動量が変わることを前提に、通常参加、活動量の縮小、一時休止、役割変更、退会という選択肢を設けます。
確認するのは、個人的事情の詳細ではなく、業務上必要なことです。いつから活動量を変えるか、担当業務を誰へ渡すか、外部連絡を誰が引き継ぐか、復帰や退会の時点をどう確認するか。離れる人を責めるのではなく、引き継ぎを行い、本人が得た経験を否定しないことも組織の責任です。
熱量を求める前に、問いと役割の流れをつくる
メンバーが活動を続けるための基本的な流れは、次の四段階です。
- 問い ナゼ?この活動を行うのかを、自分の言葉で理解する
- 役割 問いとつながる具体的な仕事を持つ
- 判断 作業だけでなく、一部の意思決定を担う
- 反映 自分の仕事や意見が、事業や組織をどう変えたかを知る
TEIGEN JPが目指しているのは、創設者の意志をそのまま守る組織ではありません。受け取った問いを、次のメンバーが自分の言葉で問い直し、新しい実践へ更新する組織です。
自分の街で活動を始めたい10代は、30分・無料・オンラインの立ち上げ相談を利用できます。