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10代の登壇者に何を話してもらうか決める方法

10代の登壇者を招きたいと思っても、「若者の意見を聞く」だけでは企画が浅くならないか、本人へ何を頼めばよいか迷うことがあります。10代を世代の象徴として置くのではなく、その人が経験した問い、判断、失敗、修正を議論へ接続する方法を整理します。

「若い世代の声を聞きたい。でも、10代の登壇者に何をどう頼めばいいのか分からない」——イベントや研修を企画する方から、そんなご相談をいただくことがあります。

今回は、これまで40回の登壇・講演で培った経験をもとに、10代の登壇を「若者の感想」で終わらせず、議論の中心に据えるための企画設計をご紹介します。少しの準備で、登壇の深さは大きく変わります。

講演する代表

「若者の意見を話してください」では準備できない

10代の登壇者へ、「若者代表として自由に話してください」と依頼することがあります。しかし、一人の10代が同世代全体を代表することはできません。地域、学校、家庭、活動経験によって考えは異なります。依頼された本人も、何を期待されているのか判断できません。

  • 自分の経験を話すのか
  • 同世代全体を分析するのか
  • 主催者の主張に賛同する役割なのか
  • 成功談を求められているのか
  • 政策への意見を求められているのか
  • 聴衆へ行動を呼びかけるのか

企画側が最初に決めるべきなのは、「若者に出てもらうこと」ではなく、その人のどの経験が、企画の問いに必要なのかです。

TEIGEN JP代表の堀井爽夏は、2007年生まれ、東京都足立区出身です。団体として2026年7月までに40回の登壇・講演を行っています。主な登壇には、政策プレゼン、講演、対談、学生パネリスト、議員勉強会などがあります。同じ登壇者でも、形式によって求められる役割は異なります。

テーマは「若者」ではなく、経験した意思決定から決める

学生団体の運営者へ依頼する場合、次のようにテーマを具体化できます。

  • ナゼ?その社会課題へ取り組んだのか
  • 最初の企画をどう形にしたのか
  • 行政や議会へどう相談したのか
  • 大人との協働で何が難しかったか
  • メンバーの意見が割れたとき、どう決めたか
  • 企画が予定どおり進まなかったとき、何を変えたか
  • 自分の考えを変えた出来事は何か
  • 現在も解決できていない課題は何か

TEIGEN JPの登壇実績には、次のような場があります。

  • 2023年12月、首相官邸で内閣総理大臣(当時)岸田文雄氏へ政策をプレゼン
  • 2024年11月、明るい選挙推進協会・総務省の若者リーダーフォーラムへ東京都代表として参加
  • 2025年6月、世界銀行副総裁(当時)マーシー・テンボン氏の特別講演会へ学生パネリストとして登壇
  • 2025年、日本青年会議所サマーコンファレンスで芦屋市長の高島崚輔氏と対談
  • 2026年3月、日本シティズンシップ教育フォーラムのシティズンシップ教育ミーティングへ登壇
  • 2026年6月、埼玉県八潮市議会の議員勉強会へ登壇
  • 2026年、日本青年会議所サマーコンファレンスで藤原和博氏と登壇

実績名を紹介してもらうだけでは、その場でしか聞けない話になりません。「何を達成したか」に加えて、「ナゼ?その判断をしたか」「何を見落としたか」「誰の言葉で考えが変わったか」を聞きます。

講演、対談、パネルで役割を変える

登壇時間だけを伝えても、本人は準備できません。形式ごとに、何を担ってもらうかを明確にします。

形式登壇者に求めること企画側が決めること
講演経験を一つの物語として構成するテーマ、聴衆、時間、持ち帰り
対談相手との違いを通じて考えを深める論点、質問、進行、時間配分
パネル特定の経験や立場を議論へ加える各登壇者の役割、共通質問
勉強会実践の方法、課題、限界を共有する参加者が知りたい実務
政策プレゼン問題、根拠、提案を短く示す提案先、判断してほしい事項

10代の登壇者を、最後に感想を求める役や、会場へ新鮮さを加える役として置くだけでは、議論へ参加できません。たとえば、行政関係者、研究者、教育関係者と同じパネルに登壇する場合、「若者としてどう思うか」ではなく、模擬選挙の運営経験、10代の組織運営、学校現場での実践など、本人が具体的に答えられる論点を割り当てます。

登壇して語る様子

良い質問は、成功談より判断の過程を引き出す

登壇内容を深くする質問には、順序があります。

  1. どのような状況だったか(当時の地域、組織、企画の状態)
  2. 何を問題だと考えたか(客観的な状況と、本人が感じた違和感を分ける)
  3. どのように行動したか(連絡、企画、交渉、役割分担)
  4. 何がうまくいかなかったか(計画どおりに進まなかった点、判断の不足)
  5. 何を問い直し、変えたか(他者との対話や失敗を受けた修正)
  6. 現在も残る課題は何か(成功談で閉じず、未解決の問題を確認する)

TEIGEN JPの合言葉「Always Be a Questioner.」を登壇へ反映するなら、完成した答えを話してもらうだけでは不十分です。問いが生まれ、他者と出会い、提言になり、自分の考えも変わっていく過程を共有します。聴衆へ渡すのは、同じ行動をまねる手順だけでなく、判断するときに使える問いです。

10代を「世代の代表」として消費しない

10代の登壇者へ、次のような役割を求めすぎないようにします。

  • 同世代全体の意見を説明する
  • 若者が参加しない理由を一人で代弁する
  • 主催者の取り組みを若者目線で肯定する
  • 大人の議論へ最後に感想を加える
  • 年齢に比べて優秀であることを演出する
  • 個人的な苦労を感動的に話す
  • 特定の政党や政策への立場を示す

本人が経験していないことについて、若いという理由だけで回答を求めてはいけません。質問する場合も、「今の若者は政治に関心がないのですか」ではなく、次のように変えます。

  • あなたの活動へ参加した10代は、最初に何を不安に感じていましたか
  • 参加前後で、行動や発言にどのような変化がありましたか
  • 参加しなかった人について、確認できていないことは何ですか
  • 自分の経験を、同世代全体へ一般化できない点はどこですか

登壇者が答えられない、確認が必要、一般化できないと言えることも、誠実な議論の一部です。

事前質問と公開条件を明確にする

即興の回答を求めれば、率直な話が聞けるとは限りません。主要な質問を事前に共有することで、事実関係と公開範囲を確認できます。特に未成年者が登壇する場合は、次の条件を一つずつ確認します。

  • 氏名の表記
  • 所属団体の表記
  • 学校名の表記
  • 顔写真
  • 当日の撮影
  • ライブ配信
  • アーカイブ公開
  • 切り抜き動画
  • SNSへの掲載
  • メディア取材
  • 資料の二次利用
  • 終了後の交流
  • 会場までの移動
  • 終了時刻

登壇への同意は、すべての撮影や二次利用への同意ではありません。依頼文には、主催者、企画目的、日時、会場、聴衆、形式、登壇時間、テーマ、他の登壇者、謝礼、交通費、撮影条件、回答期限を記載します。

学校向けの1コマ講演は2万円からです。その他の講演、対談、パネルについては、企画の内容と主催者の規定に応じてご相談ください。

登壇後に「若者の声を聞いた」で終わらせない

10代の登壇者を招いた事実だけで、若者参画が実現するわけではありません。企画終了後に確認したいのは、登壇内容が次の判断や行動へどうつながったかです。

  • 聴衆からどのような問いが出たか
  • 主催者の企画や方針に変更があったか
  • 登壇者へ結果を共有したか
  • 発言を切り取らず、文脈とともに記録したか
  • 次回も同じ登壇者だけに依存していないか
  • 他の10代が参加できる回路をつくれたか

TEIGEN JPのミッションは「すべての10代に、まだ見ぬ自分と出会う機会を。」です。一人の10代を象徴として壇上へ置くことだけでは、この機会は広がりません。登壇を、聴衆が次の問いを持ち、別の10代にも参加の機会が生まれる起点として設計します。

企画概要、対象者、形式、時間、希望テーマ、謝礼、撮影条件を整理してご相談ください。

よくあるご質問

「若者の政治参加について自由に話してください」という依頼では不十分ですか。
お気持ちはとてもありがたいのですが、範囲が広すぎると、本人はどの経験を話すべきか迷ってしまいます。学生団体の設立、模擬選挙、行政連携、組織運営など、企画の目的とつながる論点を二つか三つに絞っていただけると、登壇者は何倍も深い話ができます。
質問を事前に共有すると、回答が作られたものになりませんか。
そのご心配、よく分かります。ですが、事前共有は回答を飾るためではなく、事実確認、時間調整、個人情報の整理のために必要なものです。主要な質問を共有したうえで、当日に掘り下げる追加質問をすれば、率直さと正確さの両方が手に入ります。
10代の登壇者に学校名を掲載してもよいですか。
確認いただけて、とても助かります。本人や団体が学校名を公開しているとは限らないため、氏名、学校名、顔写真、録画、SNS掲載は、それぞれ個別に確認をお願いします。登壇の承諾がすべての公開への同意ではない——この一線を守ってくださる主催者は、登壇者からも信頼されます。
10代の登壇者へ失敗について聞いてもよいですか。
はい、むしろ失敗の話にこそ、聴衆の役に立つ学びがあります。ただし、私生活や人間関係のつらさを引き出すのではなく、企画、組織、判断の範囲であることを事前に示してください。答えたくない、公開できない、確認が必要という選択も認めていただけると、登壇者は安心して率直に話せます。

この記事は学生団体TEIGEN JPが、自分たちの実践をもとに書いています。個別のご相談は contact@teigenjp.org へ。ほかの記事を見る →