TOP / テイゲン知恵袋

テイゲン知恵袋

10代・高校生への登壇依頼

公開

「高校生や10代の登壇者を招きたいけれど、どのようなテーマを依頼すればよいのか分からない」「若者の意見を聞くというだけでは、形だけの企画になりそう」と悩む担当者も多いでしょう。

「アドバイス」と題したスライドを背に、正面に座る生徒たちへプレゼンの心構えを話すTEIGEN JPのメンバー

10代・高校生への登壇依頼「若者代表」で終わらせない企画設計

読了 約10分

学校行事で、生徒が一歩を踏み出せるような講演をお願いしたい先生もいるでしょう。自治体や議会で、若者の政治参加について実践者の声を聞きたい担当者もいるはずです。企業や財団のイベントで、10代との協働や社会参画をテーマにパネルディスカッションを企画している方もいるかもしれません。

一方で、「若者代表として自由に話してください」という依頼では範囲が広すぎると感じながら、どこまで具体的に指定すれば本人らしさを失わずに済むのか迷うことがあります。

大人の登壇者と同じ質問をしてよいのか、未成年者へ失敗や苦労を尋ねてもよいのか、学校名や顔写真をどこまで掲載できるのかという不安もあります。事前に質問を共有すると回答が作られたものになるのではないか、当日の即興性を重視したほうがよいのではないかと考える方もいるでしょう。

また、10代の登壇者を招いたものの、大人の議論を聞いた最後に「若者としてどう思いますか」と感想を求めるだけになり、本人の経験を十分に生かせなかったというケースもあります。

そこでこの記事では、テーマの決め方、講演・対談・パネルでの役割、質問のつくり方、未成年者への配慮、依頼文に必要な情報までを紹介します。

この記事は、こんな方に向けています

  • 学校行事や授業で、高校生・大学生の講演を企画している方
  • 自治体や議会で、若者参画をテーマにした勉強会を開きたい方
  • 企業・財団・青年会議所等で、10代を交えた対談やパネルを企画する方
  • 「若者代表」として何を依頼すべきか迷っている方
  • 登壇者の成功談だけでなく、判断や失敗の過程を聞きたい方
  • 主要な質問を事前共有すべきか迷っている方
  • 未成年者の学校名、写真、録画、SNS掲載について確認したい方
  • 大人の登壇者と10代の登壇者を、対等に議論へ参加させたい方
  • 登壇後の企画や行動へ、発言をつなげたい方

登壇者を探す前に、まず聴衆へ何を持ち帰ってほしいのかを考えると、必要な経験と質問が見えやすくなります。

「若者の意見を自由に話してください」では準備しにくい

10代の登壇者へ、「若者代表として自由に話してください」と依頼することがあります。

しかし、一人の10代が同世代全体を代表することはできません

地域、学校、家庭、活動経験によって、考え方は異なります。

依頼された本人も、何を期待されているのか判断しにくくなります。

  • 自分の経験を話すのか
  • 同世代全体を分析するのか
  • 主催者の取り組みへ賛同する役割なのか
  • 成功談を求められているのか
  • 政策への意見を求められているのか
  • 聴衆へ行動を呼びかけるのか

「若者の意見」という大きな言葉を、本人が経験した具体的なテーマへ変えます。

登壇して語る様子

例えば、学生団体の運営者へ依頼する場合でも、次のように分けられます。

  • ナゼ?その社会課題へ取り組んだのか
  • 最初の企画をどう形にしたのか
  • 行政や議会へどう相談したのか
  • 大人との協働で何が難しかったか
  • メンバーの意見が割れたとき、どう決めたか
  • 企画が予定どおり進まなかったとき、何を変えたか
  • 自分の考えを変えた出来事は何か
  • 現在も解決できていない課題は何か

テーマは、聞き手の「翌日」から逆算する

登壇テーマを考えるとき、登壇者が話せることを並べるだけでは、企画の焦点が定まりません。

先に、聴衆へ何を持ち帰ってほしいかを考えます。

  • 生徒に、最初の一歩を考えてほしい
  • 教員に、体験型主権者教育の設計を持ち帰ってほしい
  • 行政職員に、若者参画を機会設計として捉えてほしい
  • 学生団体の代表に、属人化を防ぐ方法を考えてほしい
  • 企業担当者に、10代との協働方法を知ってほしい

その上で、登壇者の経験と結び付けます。

例えば、学生向けの講演でも、目的によって質問は変わります。

聴衆に残したいもの聞く内容
挑戦のきっかけ最初に感じた違和感、始めた理由
行動の方法最初の連絡、仲間集め、企画の進め方
失敗への向き合い方うまくいかなかったこと、変えた判断
組織運営役割分担、対立、代表依存への対応
社会との協働行政、学校、大人との調整

TEIGEN JPが登壇で重視しているのも、「何を話せるか」だけではなく、「誰に、何が残るか」です。

対談セッションの様子

講演、対談、パネルで役割を変える

登壇時間だけを伝えても、本人は何を準備すればよいか分かりません。

形式ごとに、期待する役割を明確にします。

形式登壇者に求めること企画側が決めること
講演経験を一つの流れとして構成するテーマ、聴衆、時間、持ち帰り
対談相手との違いから考えを深める論点、質問、進行、時間配分
パネル特定の経験や立場を議論へ加える各登壇者の役割、共通質問
勉強会実践の方法、課題、限界を共有する参加者が知りたい実務
政策プレゼン問題、根拠、提案を示す提案先、判断してほしい事項
授業生徒が考える時間をつくる学習目標、活動、振り返り

10代の登壇者を、最後に感想を求める役や、会場に新鮮さを加える役として置くだけでは、議論へ十分に参加できません。

例えば、行政関係者、研究者、教育関係者と同じパネルに登壇する場合、「若者としてどう思うか」ではなく、次のように経験を特定します。

  • 模擬選挙を企画・運営した立場
  • 行政と協議した立場
  • 高校生・大学生の組織を運営する立場
  • 学校現場で授業を行った立場
  • 政策提言を行った立場
サマーコンファレンス2025での登壇

成功談より、判断の過程を聞く

登壇者の実績が豊富な場合、成果を順番に紹介するだけでも時間を使えます。

しかし、聴衆が自分の行動へつなげやすいのは、結果よりも、結果へ至る過程です。

質問は、次の順序で組み立てます。

1.どのような状況だったか

当時の地域、学校、組織、企画の状態を確認します。

2.何を問題だと考えたか

客観的な状況と、本人が感じた違和感を分けます。

3.どのように行動したか

連絡、企画、交渉、役割分担など、実際の行動を聞きます。

4.何がうまくいかなかったか

予定どおりに進まなかったことや、判断の不足を聞きます。

5.何を問い直し、変えたか

他者との対話や失敗を受けて、方針をどう修正したかを聞きます。

6.現在も残る課題は何か

成功談だけで閉じず、未解決の問題を確認します。

TEIGEN JPの「Always Be a Questioner.」を登壇へ反映するなら、完成した答えを話してもらうだけでは不十分です。

問いが生まれ、他者と出会い、企画や提言になり、自分の考えも変わっていく過程を共有します。

国連旗を掛けた演台でマイクに向かって話す高校生と、着席して聞く出席者

10代を「世代の代表」として背負わせない

10代の登壇者へ、次のような役割を求めすぎないようにします。

  • 同世代全体の意見を説明する
  • 10代が参加しない理由を一人で代弁する
  • 主催者の取り組みを10代目線で肯定する
  • 大人の議論へ最後に感想を加える
  • 年齢に比べて優秀であることを演出する
  • 個人的な苦労を感動的に話す
  • 特定の政党や政策への立場を示す

本人が経験していないことについて、若いという理由だけで回答を求める必要はありません

例えば、

という質問は、一人の登壇者が答えるには大きすぎます。

次のように具体化できます。

  • あなたの活動へ参加した10代は、最初に何を不安に感じていましたか
  • 参加前後で、発言や行動にどのような変化がありましたか
  • 参加しなかった人について、確認できていないことは何ですか
  • 自分の経験を、同世代全体へ一般化できない点はどこですか

「分からない」「確認が必要」「自分の経験だけでは一般化できない」という回答も、誠実な議論の一部です。

主要な質問は、事前に共有してよい

質問を事前に伝えると、回答が用意されたものになり、率直さが失われるのではないかと心配する方もいるでしょう。

しかし、準備不足と率直さは同じではありません

主要な質問を事前に共有すれば、登壇者は次の確認ができます。

  • 事実関係を確認する
  • 他のメンバーや関係者へ確認する
  • 話してよい情報と非公開情報を分ける
  • 未成年者の氏名や学校名を整理する
  • 時間内に収まる内容を準備する
  • 聴衆に合わせて専門用語を説明する
  • スライドや資料を準備する

当日に追加質問をする場合は、「答えられない」「確認が必要」「公開できない」という回答も認めます。

未成年者の登壇では、公開条件を一つずつ確認する

10代の登壇者には、未成年者が含まれます。

登壇の可否だけでなく、次の事項を個別に確認します。

  • 氏名の表記
  • 所属団体の表記
  • 学校名の表記
  • 顔写真
  • 当日の撮影
  • ライブ配信
  • アーカイブ公開
  • 切り抜き動画
  • SNSへの掲載
  • メディア取材
  • 資料の二次利用
  • 終了後の交流
  • 会場までの移動
  • 終了時刻

登壇への同意は、すべての撮影や二次利用への同意ではありません

学校名は、本人や団体が公開しているとは限りません。企画側で推測して掲載せず、表記を確認します。

また、登壇終了後に予定していなかった取材や交流を依頼する場合も、本人が断れるようにします。

依頼文に入れたい16項目

依頼を受ける側は、主催者名と日時だけでは、参加できるか判断できません。

最初の依頼には、次を記載します。

  1. 主催者
  2. 企画名
  3. 企画の目的
  4. 開催日時
  5. 会場またはオンライン
  6. 想定する聴衆
  7. 想定人数
  8. 登壇形式
  9. 登壇時間
  10. 話してほしいテーマ
  11. 他の登壇者
  12. 謝礼
  13. 交通費
  14. 撮影、配信、録画
  15. 回答期限
  16. 担当者の連絡先

まだ決まっていない項目があれば、未定と記載して構いません。

決まっていないことを隠して依頼すると、後から条件が変わり、双方の負担が増えます

TEIGEN JPでは、講演、授業、パネルディスカッション、対談などに対応しています。

企画概要、対象者、形式、時間、希望テーマ、謝礼、撮影条件を整理し、公式サイトの問い合わせフォームから相談できます。

よくあるご質問

「若者の政治参加について自由に話してください」という依頼では不十分でしょうか。
依頼の出発点としては問題ありません。ただ、範囲が広いため、登壇者が何を準備すべきか迷う可能性があります。学生団体の設立、模擬選挙、行政連携、組織運営など、企画目的に合う論点を二つか三つに絞ると、本人の経験を生かした具体的な話を引き出しやすくなります。
質問を事前に共有すると、回答が作られたものになりませんか。
率直な対話を大切にしたいという考えはよく分かります。その上で、事前共有は、事実確認や個人情報の整理、時間調整に役立ちます。主要な質問は共有し、当日は回答を深める追加質問を行うことで、安心とライブ感の両方を保てます。
10代の登壇者に学校名を掲載してもよいですか。
学校名を加えるとプロフィールが分かりやすくなる一方、本人や団体が公開していない場合もあります。氏名、学校名、顔写真、録画、SNS掲載は、それぞれ本人と団体へ確認してください。事前に丁寧に確認することで、登壇者も安心して企画へ参加できます。
失敗や苦労について聞くと、本人を傷つけないか心配です。
その配慮はとても大切です。私生活や人間関係の苦痛を求めるのではなく、企画、組織、判断の範囲を示して質問しましょう。「予定どおりに進まなかったこと」「その後に変更したこと」など、本人が話せる範囲を選べる聞き方にすれば、失敗を誰かの学びへ変える対話ができます。